徳善寺だより 第27号 平成22年 11月

今年も早いもので後2ヵ月後ほどとなりました。今年は9月に入ってからも記録的な猛暑が続き、過ごしやすい時候が短く、もうそこまで冬がやってきているように思います。ご門徒の皆様におかれましてはいかがお過ごしですか。

先日3歳になる息子の運動会を見に行きました。子供も初めての事ですが、私も親として初めての運動会でしたので、練習の成果はいかほどのものかと期待と不安を胸に秘め当日を迎えました。

その中に親子競技がありました。簡単な障害物競走といったところです。妻が私に出てやってほしいと言うので、お参りを済ませた後、大急ぎで会場に向いました。

何とか時間にも間に合い、子供と手をつなぎ運動場にいきました。すると子供がぐずりはじめました。「パパ嫌!ママ」だと。いつも幼稚園の送り迎えをしている妻がよかったのでしょう。仕方がないので妻を呼び、私はビデオ係に…。初めての運動会は私にとっては少々苦い思い出となりました。

その後は他学年の演目も観覧していたのですが、1学年上がる事に子供たちの成長は歴然です。かっけこには闘志を燃やし、ダンスや組体操には真剣に取り組む。当然ですが、子供の成長は目に見えるのです。その過程を見ていると、子供と大人(私)の違いは何なのかと考えさせられました。

子供たちは目の前のことに一生懸命取り組み、そしてそのことを達成したとき、喜びを全身で受け止めます。その喜びがまた次の事柄への意欲を沸き立たせます。これは本来人間がもっている本質で、「向上」という言葉が当てはまるかもしれません。子供たちは「無邪気」に様々なハードルを越え、自信へと変えていきます。

私たち(大人)はどうでしょう。私自身に置き換えてみますと、物事に対し一生懸命取り組むという点では同じかもしれませんが、子供たちと違って先に「結果」を考えてから行動するという点では多くの「成長」を取りこぼしているかもしれません。

「結果は後からついてくる」という言葉をよく耳にしますが、私は今回の運動会を通じて、成長すればするほど結果にとらわれてしまう自分に気がつきました。時には子供たちのように「無邪気」に取り組む気持ちも必要なことではないのでしょうか。

(合掌)住職

● 報恩講のお知らせ

毎年恒例の報恩講法要を勤修いたします。皆様お揃いでお参り下さいますよう、よろしくお願いします。

日 時 11月14日(日) 午後2時より (徳善寺本堂において) 勤行・焼香・法座

講師 本願寺派布教師高松寺住職 谷川誠氏

● 落語会のお知らせ

神戸市内の若手僧侶の有志が集って群萠会(ぐんもうかい)という活動をしております。私もそのメンバーの1人で、昨年も行いましたが今年も「ぐんもう寄席」と題し、落語会を開催いたします。入場料無料ですのでこの機会に是非、生の落語をお楽しみください。

日 時 開 場
平成21年 11月20日(土) 午後2時30分開場 午後3時開演

専念寺 (神戸市東灘区住吉宮町2-12-7)
TEL 078-841-2031

☆ JR 住吉駅より南に約10分、阪神住吉駅より北東へ約4分
駐車場が御座いませんので、公共交通機関でお越し下さい。詳細は徳善寺まで。

● くらしの仏教語

玄関(げんかん)家の正面の入り口を玄関と呼んでいます。表入口という意味なのでしょう。見栄を張って外観だけを豪勢にみせようとすることを「玄関を張る」といい、面会させないで客を帰らせることを「玄関ばらい」といいます。

この玄関が仏教語なのです。本来は建物の名前ではなく、玄妙な道に入る関門という意味で、奥深い教えに入る手始め、いとぐちを指していました。「仏門に入る」などがそれです。

この仏教語が建物の名前となり、禅寺の客殿に入る入り口を指すようになりました。

やがて、室町時代から桃山時代にかけて盛んになった書院造りに、その形式が取り入られましたが、まだ庶民住宅には造ることを許されていませんでした。

江戸時代になって、民家や一般の建物にも広まり、明治以降は現在のように、正面入り口を呼ぶようになりました。

事務局

神戸市須磨区寺田町2丁目1-2 徳善寺内 TEL 078-732-0531

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